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2015年5月31日日曜日

頭の中の「ボトルシップ」

 こんにちは、稲田商会です。

 思いつきの話です。




 以前に書いた事があるかもしれませんが、思いついたので書いてみる事にします。

知識の「ボトルシップ」による比喩

思いついた事というのは、「知識」というのは、頭の中にある「不透明なビンに入ったボトルシップ」だということです。
 「ボトルシップ」って、ビンの中に船の模型が組み立てられているものです。

参考画像: 

参考: ボトルシップ(Wikipedia)

 知識とボトルシップの類似性として、次の点が挙げられると思います。

  • ボトルシップはビンの口から出入りさせるためにバラバラのパーツに分解しておく必要があり内部での組み立てが必要なように、知識も同様に単体の知識や関連性を学習し、それを頭の中で構造体に構築する必要があること。
  • ボトルシップは周囲に制限の無い模型と比べて組み立ての手順や作業方法に制限があり、正しい順序でパーツの搬入、組み立てを行う必要があるように、知識も必要な知識、関係性を必要な段階に構造化しておかないと構造体が構築出来なくなることがあること。
  • 不透明なビンに入ったボトルシップはどのような状況かを確認しようとしてもビンの出入口以外から確認する方法はないように、頭の中に収められている知識や知識の関連性は外部からは本人に表現して貰うという間接的な方法で類推するしかないこと。

「ボトルシップ」モデルでの賢さ

これらのことは、知識や知識の構造体は「本人がどのように組み立てたいのか」、「きちんとした構造体を組み立てるために努力するか」などの本人の努力や「既に構造化された部分が正しく行われていると判断出来るか」、「構造を追加する際に的確な、効率的な構築が出来るか」などの才覚があるかが問題となってくることになります。
 即ち、賢さとは「ボトルシップを大きく、複雑に作り上げること」および「作り上げたボトルシップを元に、現実世界に即した情報処理が行えるか」の能力ということになります。

「ボトルシップ」モデルでの知識の移転

「ボトルシップ」モデルでは、外部から与えられる知識をさらに頭の中で構造化することが必要と考えるものですが、この考え方に沿えば、知識の移転=教育は教えを授ける側も教えを受ける側もそれなりの労力を要する作業ということになります。
 なにしろ、頭の中にある構造はそのままでは取り出す事は出来ません。全ての構造を切り離してボトルの口を通るくらいまで細分化された単体の知識として運び出す事になります。
 一方、受け手は単体の知識を外部からの誘導だけで元の構造と似た(もしくは本人にとって使いやすいような)構造に組み上げていく必要があります。
 授ける側のボトルの中と受ける側のボトルの中では構造をなす知識の量も、知識相互の関わり合いも違うわけですから「○○と××の関係は△△と□□の関係と相似している」などといって構造を作ろうとしても、構成要素が不足していれば構造が作れなくなってしまいます。

 この、自分のボトルの中と相手のボトルの中が異なる状況にあるということを理解していない人が時々居るように感じますが、そう言う方は付き合うときに苦労する事があります。
 こちらとしてその方のボトルの中を想像しながら「何々ですよ」「それに何々を付け加えてください」「そうすると何々になるでしょう」と説明しても「そんなことを言われてもよく判らない」と言われてしまいます。そして、何かの切っ掛けで相手に伝えたい内容が伝わった場合に(その方のボトルの中の状況から)「何々と説明してくれれば直ぐに理解出来たのに回りくどい説明をした」と言われてしまいます。
 ボトルシップモデルにもとづいて考えて、「相手のボトルの中と自分のボトルの中はどのような対応関係にあるのか」「相手のボトルの口から出てくるものは自分のボトルの中ではどのように組み立てるのが適切なのか」考えるようにすると、前述のような物言いにはならないと思うのです。

 教育として考えると、まず学生の側にボトルシップモデルの基本である、「自分の頭の中に知識の構造を作る必要がある」こと、「知識の構造を作る作業の設計、施工、検証、修正は自分自身で行う必要がある」ことを学んで貰う必要があると思います。
 その次のステップとして、「書籍や論文などに示される知識はボトルの口を通って出てきた単体の知識であり、その大元の知識構造とはどのようなものかを推測する技術を得る」こと、「自分自身としてどのような知識構造が望んでいるかを考え、ボトルの口から入る知識を選別して構造化していく」こと、「自分自身の知識構造で空洞となっていて不足している知識は無いかを考える」ことを学べば、より複雑なボトルシップを構築することができるようになると思います。

 以上、思いつきのままで書いてみました。

 それでは、今回はこのへんで。

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