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2014年12月7日日曜日

選挙戦で触れられる、アベノミクスの数値

 こんにちは、稲田商会です。

 朝日新聞の記事ですから、ね。

アベノミクス是非、「有利な数字」が前面に(朝日新聞)
2014年12月7日01時16分
 衆院選の主要な争点である安倍政権の経済政策「アベノミクス」の是非をめぐり、与野党で様々な経済統計の数字を交えた論戦が熱を帯びている。与党は雇用や賃金の好転ぶりを数字で誇り、野党は別のデータを使って反論する。ただ、自らに都合のよい数字だけを持ち出す実態も浮かぶ。
 「平均で賃金が2%上がった。15年ぶりです。ボーナスも7%上がった。24年ぶりです」。安倍晋三首相は6日、兵庫県姫路市の街頭演説で立て続けに数字を並べて実績を強調した。
 「簡単に言えば雇用を増やし、賃金を増やすことだ」。アベノミクスをそう説明する首相が毎回持ち出すのが、この春闘の実績だ。実際、労働組合の中央組織「連合」の調査では、今年の春闘で賃上げ率は平均2・07%。「民主党を応援する連合の調査ですよ」。そう挑発的に語ることもしばしばだ。
 民主党の海江田万里代表は「賃金2%上昇はごく一部の限られた企業だけだ」と反論する。厚生労働省の調査によると、連合加盟の雇用者は全雇用者のわずか12%。組合がない企業の労働者や非正規社員は含まれないためだ。
 賃金の額面が上がっていると訴える首相に対し、共産党の志位和夫委員長は、物価上昇の伸びを差し引いた実質賃金指数では「16カ月マイナス」と強調する。厚労省の毎月勤労統計調査では、昨年7月以来マイナスが続く。円安による食材の高騰なども含めた物価の上昇に追いついていない。
 こうした批判に反論するため首相が持ち出したのは「総雇用者所得」という耳慣れない統計だ。
 賃金に雇用者の人数を掛け合わせるため、雇用者数が増えるほど数字は大きくなる。安倍政権になって雇用者数は増えている。首相は「私が20万円の給料をもらっていて、妻が10万円のパートを始める。安倍家の収入は30万円に増えるが、平均値は15万円に下がる」と説明する。1人あたりの平均の賃金が伸びていなくても、雇用者全体では所得が増えている、というわけだ。首相はさらに、その数字が「消費税の引き上げ分を除けば上昇している」と訴える。これに対して生活の党の小沢一郎代表は「正社員として採用され身分が安定して初めて消費に回る。そうじゃないと財布のひもを締めるしかない」と批判する。
 雇用では、職を探す一人につき何人分の仕事があるかを示す有効求人倍率の「手柄争い」が熱を帯びる。
 「有効求人倍率は、22年ぶりの高水準であります」。首相は6日、兵庫県尼崎市で力を込めた。演説で必ず触れる数字だ。
 倍率は民主党政権が倒れ、第2次安倍政権が発足した2012年12月には0・83倍だった。その後上昇を続け、13年11月には約6年ぶりに1倍を超えた。今年は年平均で1992年の1・08倍に並ぶ。首相は「政策は成果を上げつつある」と強調する。
 だが、同じ有効求人倍率の推移から海江田氏が訴えるのは、民主党政権の実績だ。08年のリーマン・ショック後に急減し、翌年の自民党政権末期に0・42倍まで落ち込んだ。「民主党時代からの伸びが今も続いている」と海江田氏。民主党政権が道筋をつけたV字回復の流れに、自民党は乗っかっているだけ――。そんな思いがにじむ。(三輪さち子、藤原慎一) 
(後略)