相場から離れて勝つ 仙人のような投資家の極意 経済ジャーナリスト・西野武彦(日本経済新聞)
2014/9/25 7:00
「山奥に住み、株価が底値になるとお金を詰めたリュックを背負って山を下り、大量の株を買って帰る。そして相場が天井近くになると株を売りに行き、大金を手にして帰っていく。そんな仙人のような投資家がいるそうです」――。私は昔、投資家でもある実業家に取材したとき、こんな話を聞いたことがあります。その人はどこに住んでいるのかと聞くと「人から聞いた話なので、詳しいことは知りません」とのこと。「山奥といっても、どこの何という山なのか、そもそも本当にそんな人がいるのかどうかも分かりません。もしかしたら作り話なのかもしれませんね」親しいベテラン証券マンたちにも聞いてみましたが、知っている人はいませんでした。そんな話はすっかり忘れかけていたあるとき。「孤高の相場師 リバモア流投機術」という本を読んでいたら、そっくりな話が出てきたので驚きました。著者のジェシー・リバモアは米国の投機家で、1929年に空前の高値をつけていた米国株を暴落前に大量に空売りし、巨万の富を築いたことで知られています。
(後略)